エリオット波動はすでに概要をお話をしてきましたが、今回は第2回目となります。
今回の記事ではエリオット波動の主な波形と、実際にどう使っていくかを話していきたいと思います。
そして最後に、私のエリオット波動での失敗と気づきについてお話をしております。
エリオット波動における主な波形を知っておくことで、今現在の相場の位置、そしてエントリーポイントを探る手助けとなるでしょう。
トレンド方向に強く動く推進波
エリオット波動は推進波と修正波が交互に織りなす形で形成されることは前回も紹介してきました。

推進波にはインパルスとダイアゴナルという2つの波形があります。
修正波にはジグザグ、フラット、トライアングルの3つの波形があります。
大別すると相場の動きというのは全てがこれらの5つの波形のうちのどれかということになります。
全てのチャートの動きはエリオット波動によって説明ができる、それこそがまさにエリオット波動の考え方なのだろうと思います。
でもしエリオット波動をご自身のトレードスタイルに組み込むのであれば、絶対に書籍を読んでおいてください。

エリオット波動は中途半端な理解で使うと、かえってマイナスな結果になる可能性があります。
決められたルールやガイドラインといったものが存在するので、そういった理解を十分に行った上で使う必要があります。
今回の記事の内容も上の「エリオット波動研究」に書いてある内容の一部となっております。
強気の推進波、インパルスの波形
インパルスは教科書等でもよく見かけるメジャーな波形です。
インパルスの波形には絶対に成立しなければならないルールがあり、以下の通りです。
- 第2波は第1波の始点を割り込まない。
- 第1波、第3波、第5波の中で第3波が最小になることはない。
- 第4波は第1波に重ならない。
底値圏からの大陽線など、トレンドを変えるような第1波が出た時は第2波の押し目でエントリーを狙います。
この時、第2波は第1波の始点(青いライン)を割らないので、ここは明確な損切りラインとして設定しやすいですね。

損切りの設定ポイントはエントリーの根拠が失われた場所だったね。
エリオット波動の考え方を取り入れると、ルールがちゃんと決まっているので損切りポイントが明確であることがほとんどだ。

2番目の第3波は最小にならない、というルールですが、通常第3波が最強になります。
実際のチャートで検証をしてみても、ほとんどのケースで第3波がもっとも強い上昇になり、出来高ももっとも伴う結果になっています。
第1波や第5波が最強になるケースもありますが、まれなケースといえるでしょう。
3番目の第4波は第1波に重ならない、ですがこれは絶対ではありません。
テキストにもそう書いてありますが、第1波と第4波が瞬間的に少しだけ重複してもOKというのがプレクターの解釈のようです。
実際に検証をしてみても、第1波と第4波がピッタリ重なるケースというのはけっこう見られます。
勘のいい人はお気づきかもしれませんが、これは水平線におけるロールリバーサルの動きですので比較的よく見られる形なのです。

いつも言ってることだが、テクニカル分析はこういった繋がった理解が大事。
水平線を理解することで、エリオット波動もまた深く理解することができるんだ。

このようにインパルスの波形はとても教科書的でわかりやすく、そして力強い動きですのでぜひとも毎回狙って取りたい動きですね。
弱気の推進波、ダイアゴナルの波形
ダイアゴナルはインパルスに比べて弱気の波形だと言えると思います。
もちろん大きく価格が上昇することもないわけではないのですが、弱々しく高値を更新していくのがダイアゴナルでは多く見られます。
こちらはインパルスとは違い明確なルールがあるわけではありませんが、大きな特徴は以下です。
- 第4波は通常、第1波に重なる
- 第1波と第3波 第2波と第4波をそれぞれラインを引くとウェッジ型(くさび型)になりやすい。
- 第3波が最小になることもある。
- ダイアゴナル形成後はダイアゴナルの始点まで下落することがよくある(青線)
まず1番目からですが、ダイアゴナルの基本形は上の絵の形ですが、実際はもっといろいろな形で実際のチャートに現れます。
第4波は第2波にかなり近いところまで下がってくることも多く見られます。
その場合は2番目のように先細る形ではなくなってきます。
3番目ですが、第3波はインパルスと違ってまったく強いものではない事は大きい違いですね。
ダイアゴナルでもっとも多く見られるパターンは第1波>第3波>第5波の順番の強さです。
4番目はとても重要な話です。
ダイアゴナル形成後は急落になる動きが多く、注意が必要です。
第5波までは順調に上昇トレンドが続いているように見えるので、これを知っておかないと利確や損切りが遅れることになりやすいです。
相場の押し目や戻り目となる修正波
修正波を知っておくことは推進波を知ることより大事だと思います。
なぜなら我々トレーダーはトレンドに沿ったトレードを常に意識し、トレンドフォローの順張りであれば押し目買いの技術が求められるからです。
修正波を知っておけば、どこを押し目として狙っていくべきかがある程度見えてきます。
もちろん毎回うまくいくわけではありませんが、修正波がしっかりと出てきてから買いエントリーを行えば早すぎる押し目買いがグッと減るでしょう。
修正のエネルギーが強いジグザグの波形
ジグザグはもっとも修正波としては多く出現し、値幅も比較的大きいものになるケースが多いです。
修正波では波形をa,b,cとカウントします。
他の教材ではしばしば「反発を確認してから買え」などと言われますが、b波の天井で買うとc波の下落をもろにくらうことになります。

反発を確認しろとか、抽象的な事しか説明していない教材は基本参考にならないからね。
そもそもトレード自体をしていないような人が書いてるような物も多いらしいぞ。
ジグザグの修正波では、b波の終点はa波の始点よりもハッキリと下の位置になり、c波の終点はa波の終点をはっきりと下回る形になります。
要はN字や逆N字の形になります。
絵のようにシンプルに出ることもあれば、もっと複雑化することもあります。
ダブルジグザグやトリプルジグザグなどという難しい波形もありますが、ここでは省略させていただきますので、詳しく知りたい方は書籍を参考にしてみてください。
こちらは売りのパターンですが、これぐらいきれいにa,b,cと出てくれると私の場合はエントリーしやすく感じますね。
もちろんa,b,cが全然見えない時もあるし、どう判断したらいいかわからない波形の時も多々あります。
でも、少なくとも私はc波と思われるものがはっきりと出てきてからでないとエントリーはなるべく控えるようにしています。
平行レンジのようなフラットの波形
フラットの修正波はジグザグと比べるとけっこう厄介な波形です。
b波はa波の始点近辺まで戻り、c波はa波を少し超えてくる形が多いです。
c波が大きく伸びて結果的に大きい調整となるケースも稀にあります。
この修正波もジグザグと同じですが、b波の天井でエントリーをしてしまうとやられてしまいます。
その時c波が大きく伸びればかなり危険なことになるかもしれませんね。
フラットの修正波もc波まで形成されたのを見てから、c波が伸びてこないか警戒しながらエントリーを考えるというのが理想です。
三角保ち合い、トライアングルの波形
トライアングルについてはすでにチャートパターンの記事で紹介しているので詳しくは話しませんが、エリオット波動的にはトライアングルはa,b,c,d,eの5波構造になります。

e波はa,cのラインの延長になることもありますが、それより少し内側だったり外側だったりすることも多いです。
上の絵の他にアセンディングトライアングルだったり、ディセンディングトライアングルだったりもしますし、価格が広がっていく拡大型トライアングルというのもあります。

前に説明したY波動がこの拡大型トライアングルの事だね。
トライアングルは比較的わかりやすい波動ですし、ブレイク後は強く動くことも多いのでエントリーをしておきたい形です。
もちろん逆に走った場合も勢いが強くなりやすいので注意が必要です。
エリオット波動に迷ったらシンプルに考える
ここからは私がエリオット波動を研究しまくった結果、行き着いた結論をお話したいと思います。
エリオット波動を学び出すと、必ずと言っていいと思いますが迷路にハマると思います。
というのはエリオット波動のカウントはやはり難しく、正確にカウントできているかは結局はその波形が完成するまでわかりません。
今進行している波は〇〇だろう、というのはあくまでも仮説にすぎないのです。
ずっと研究を続けていればその仮説通りに相場が動く確率も上がるのでしょうが、私にとってはそれは途方もない道に思えました。
エリオット波動が難しいと思う理由の1つに階層の考え方があります。
エリオット波動はフラクタル構造だという話をしましたが、今進行している波は日足ではインパルスに見えるけど、もっと長いスパンで見ると修正波なのではないか…
などなど延々考えだすと結局答えは出てきません。
明らかにインパルスの動き、特徴をしている波が出ているので第5波を狙って第4波でエントリーをしたら、そのまま急落していった、という失敗も何回もしています。
最初は自分のカウントが間違っていた、とまたテキストを読み漁るのですが、ある時からは完全に諦めてしまいましたw
というよりも、第4波や第5波は一切狙わないという方針を取りました。
a,b,c波であれ、第1、2,3波であれ、どっちも3波構造なのは変わらないのだからそこを狙おうと思いました。
そこからは第1波、あるいはa波が出たら押し目をよく見て第3波、c波を取る、ということだけに専念しました。
3波目で利確したあとは何もしないようにしました。
また違うチャートで第1波やa波の出現をひたすら待つのです。
次第に「第1波やa波がどういう形ならN字にその後しっかり上がるのか」ということに意識が向き、ひたすら統計を取りました。
もはやその頃はカウントなどどうでもよくなっていましたが、トレードの成績は格段に良くなりました。
そしてこのやり方は今でも自分のベースになっています。
「相場はN字に動く」というのは自分の中での格言のように考えていて、N字に動くところだけを私は今も取り続けています。
N字が完成されたらその後もさらにトレンドが続いていくかもしれないし、N字で完成で逆に反転していくかもしれません。
どっちかわからないから最初のN字の3波目だけを狙う。
エリオット波動という複雑なものを勉強したことで、私はシンプルな手法にたどり着くことができました。
エリオット波動信者達からは怒られてしまうかもしれませんが、使えないと思った事から大きな発見があったりもするのです。
ですから勝てない間は、ひたすら学び続ける事が大事だなと思います。
実戦的なエリオット波動まとめ
今回はエリオット波動の推進波と修正波の5種類について紹介をしてきました。
とりわけ推進波に乗るための修正波の見極めが重要になってくるわけですが、実際のチャートは複雑で非常に波形の分類が最初のうちは難しいでしょう。
エリオット波動をトレードに用いるのであればまず教科書の理解が必須になります。
その後はエリオット波動を実際のチャートでどう使うか、という内容に特化した書籍をさらに読むことをお勧めします。

こちらの書籍では18種類の銘柄から実際のチャートをたくさん使ってエリオット波動の考え方を図解しています。
翻訳をエリオット波動研究所がやっているので、変な訳が一切なく、スッと理解できる内容になっているかと思います。
ぜひ参考にしてみてください。
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