フィボナッチを使うトレーダーはとても多いと思います。
特にFXトレーダーはほとんどの人が使っているような印象がありますね。
しかし、肝心の使い方についてはかなり個々によって違うように見えます。
また教材などを見てみても、「こう使うのが正解」というものは見つかりません。
なので今回は私が実際にどう使っているか、アメリカではどうなのかという観点からの話を中心にしていきたいと思います。
フィボナッチ数列とは
まずは概要から簡単にご紹介していきましょう。
1→1→2→3→5→8→13→21→34→55…
というのがフィボナッチ数列で、これが延々と続いていきます。
- 前の数字を足すと次の数字になる
- 3以降は次の数字で割ると0.618に近い数値になる
- 前の数字に1.618を掛けると次の数字に近い数値になる
- 一つおきの数字同士の比率は、2.618倍や0.382倍に近い数値になる
といったような特徴があります。
1.618や0.618という比率は黄金比などと言われていて、自然界や音楽や美術や建造物などにも数多く見られる比率なのです。
パルテノン神殿やピラミッドなどもこの黄金比の構造が数多く見られるし、カタツムリの殻は黄金比の説明では必ず出てくる典型例ですね。
フィボナッチの黄金比はこの世に存在するあらゆる物に見られる現象であり、チャートも例外ではない、というのがフィボナッチを使ったテクニカル分析の考え方になります。
フィボナッチリトレースメントの使い方
チャートの押し目や戻りは、フィボナッチ比率である61,8%や38,2%あるいは50%であることが多く、それを見るためにフィボナッチリトレースメントは活用されます。
例えば上のチャートで言うと、黒丸をつけた安値と高値にフィボナッチリトレースメントを引きます。
これは強い大陽線が出てきたこと、ここから相場がN字に進むだろうと考えるためです。
細かくて見づらいかと思いますが、23.6%や78.2%や86.0%もフィボナッチ比率であり、表示させています。

相場でよく半値戻し、3分の1戻しといった言葉が使われているが、これらもフィボナッチ比率と遠からずって感じだよね。
高値の上には118%、127%、161.8%を表示させています。
これらはレジスタンスラインとなる事が多いので表示させています。
ここで注意してもらいたいのは、フィボナッチリトレースメントは押し目をドンピシャで当てるようなものではないということです。
結局どこまで押すかなどは完成されるまでわからないので、フィボナッチリトレースメント単体で押し目買いの判断に使うわけではありません。

61.8%押しとかでピッタリ反転する場合もあるけど、まあそう簡単にはいかないわな。
フィボナッチリトレースメントを使うメリットとしては、ずばり統計が取りやすいことだろう。
「こういう場合は〇〇%まで押す確率が高い」
「〇〇%まで押すと次はこうなる確率が高い」
など波動分析をする上で統計をとても取りやすくなり、チャートの動きを全てパターン化して考えることができるようになるのがフィボナッチリトレースメントの良いところだと個人的には考えています。
初心者の方にはちょっと難解な話かもしれませんね。
1つ答えを言うと、第1波やa波などが出た時に、第2波やb波の押しは38.2%以上になる確率が80%です。
これはすごく使えるデータなのですが、当然自分で検証を繰り返さないと使いこなすことはできません。
エリオット波動とフィボナッチの相関性
すでにお気づきだとは思いますが、エリオット波動ではフィボナッチの考え方を広く取り入れています。
エリオット自身がフィボナッチ数列が自分の基礎になっていると言ったとか。
実践的なエリオット波動の使い方の記事でも紹介しましたが、例えばジグザグの修正波はa波に対してc波が1.618倍だったりします。

a波:c波が1:1になるケースも多いですが、これを知っておくとさらに押し目をうまく拾う助けになるでしょう。
インパルスの第3波が第1波の1.618倍になりやすいともされていますし、ダイアゴナルやフラットやトライアングルの波形でもフィボナッチ比率が適用されることは多いです。
詳しい話は全て書籍に書いてありますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

フィボナッチエクスパンションは利確目安を見る
フィボナッチ比率を使ったツールは実に色んな種類があるのですが、フィボナッチリトレースメントの次によく使われているのがフィボナッチエクスパンションです。
フィボナッチエクステンションといわれる場合もあります。
こちらは先ほどのチャートを使うと、黒丸の3点を左から順番に指定していきます。
すると、フィボナッチリトレースメントとは基準値が変わってきているのがわかるかと思います。
これは先ほど説明したa波:c波が1:1になるのか1:1.618になるのかを見るものです。
1:1であれば1(136.501)のラインまで価格が伸び、1:1.618であれば、一番上の1.618(137.966)まで価格が伸びるということですね。

フィボナッチリトレースメントは押しを見てエントリーを計るためのもの、フィボナッチエクスパンションは利確の目安を計るためのもの、といった感じだな。
私の場合は2つ出すのも面倒なのでフィボナッチリトレースメントしか使いません。
その際に118%や127%や161.8%も表示させ、それらが重要な節目になると考えています。
フィボナッチリトレースメントをどこに引くか
フィボナッチを使う上で大事な事は、「で、どこに引けばいいの?」
という一言に尽きるかと思います。
そしてこれに対する答えがトレーダーによって全く違うのが困ったものです。
実際にいくつかサイトを検索してみればわかるかと思いますが、これだけ人によって引き方が違うのであれば使う意味が無いのでは?という疑問も持たれるかと思います。
あるサイトでは日経平均であれば日足の1番上から1番下までを引くと言っていました。
そして38.2%や50%や61.8%あたりを抵抗ラインとして見る、などと書いてあります。
一体これだけ大きな規模でフィボナッチを引いてどうトレードに活かすと言うのでしょうか?
この規模での38.2%と61.8%ではえらい違いとなってしまいます。
実はアメリカの学校ではフィボナッチの引き方は決められています。
私は外国の方のトレーダーからトレードの基本を教わったのですが、その方の話ではアメリカの学校では最初にフィボナッチを教わり、フィボナッチをベースにしたトレードを教えるそうです。
ではアメリカではどこにフィボナッチを引くのかと言えば、トレンドを明確に変えてきた波の起点から高値までをまず引きます。
もちろんその後のフィボナッチの引き方も決まっているのですが、それはまたの機会にお話したいと思います。
とりあえず最初に引くべきはトレンド転換の1波目です。
私がN字の動きを見る、第1波やa波に注目して押しを狙う、と言っているのもこういう理由からです。
フィボナッチまとめ
今回はフィボナッチの概要とフィボナッチリトレースメントとフィボナッチエクスパンションについて話してきました。
フィボナッチリトレースメントはエリオット波動の修正波の形や、水平線を考慮して押し目を計る。
フィボナッチエクスパンションもレジスタンスラインや出来高などを考慮して利確ポイントを計る。
フィボナッチを使う目的は、結局のところN字波形を狙い通りに取ることだと理解できたかと思います。
いつものことですが、フィボナッチも他のテクニカル分析と総合的に考えて使う必要があります。
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