板読みのやり方と考え方

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重要度 ★

株のデイトレードにおいて、板情報を見る事で相場の強さや弱さを把握できることがあります。

板の動き方によってそれが後の上昇や下降につながることがあり、その特徴的な板の動きを分析することを板読みといいます。

板読みはかなり難しい分野の話です。

現代の株式相場はアルゴリズム取引の自動売買が主流となっています。

そのプログラムを組んでいる人ならともかく、我々一般トレーダーはどんなアルゴリズムが使われているのか、一般的な情報以上のものは知りようがありません。

ですので、今回の解説はあくまでも一般的にそう言われているという類の話と、私の個人的な考え方が主になり信ぴょう性についてはあまり保証できるものではないのでご了承ください。

板読みはチャート分析の補助ツール

まデイトレードにおいて板読みがどのぐらい重要になるかは、トレードスタイルによって変わってくるかと思います。

スキャルピングと言われている秒単位のトレードであれば板読みは重要になってくるでしょうが、数十分~時間単位のデイトレードであればチャート分析の補助ツールとして板読みを使うべきです。

私自身はスキャルピングトレードを一切行わないので、後者のデイトレードの前提でお話をしていきたいと思います。

 

チャート分析の補助ツール、ということはチャート分析がメインとして最初に存在し、その上で細部を見るようなイメージで板読みを行うということになります。

いわば移動平均線オシレーターなどと同じような使い方だと思っていただいて結構です。

板読みで何を知るか?

板読みとは何なのか、これを一言で言うなら今現在の相場の買いと売りの強さを調べる事です。相場の強弱と言ってもいいでしょう。

「今現在」というのがポイントで、これが例えば10秒後には買いと売りの強さがまったく逆転している可能性もあるわけです。

皆さんも経験があるかもしれませんが、たった1人の大口プレイヤーの注文で、それまでの雰囲気がガラりと変わることもあるからです。

 

私はいつも板の動きを見ながら、「買いが5点、売りが3点」みたいに採点をしています。

けっこう感覚的なもので、本当になんとなくといった感じですが。

私の中では板読みは採点方式のものであり、どっちが若干強いのかを見ています。

買いたい時に板も強ければ少し精神的な後押しになる、というぐらいの感覚です。

 

どのように採点をするのかは、現れた様々なアルゴリズム取引を見て行います。

このアルゴというのは結局のところ売り板にも買い板にも存在していることが多いので、どっちに転ぶ可能性もあるという事を常に頭に入れて採点をしていく必要があります。

様々な種類のアルゴリズム取引

デイトレで勝つためには、大口が大きく買い上げたり売り浴びせてくる動きに乗っかる必要があります。

大口はアルゴを使った自動売買を行っていますので、我々トレーダーはアルゴの動きを板から読み取ることができれば大口に付いていくことができます。

ですが先ほども言った通り、売り板にも買い板にもアルゴが存在しているので、買い板と売り板を比べて相対的に判断する必要があります。

判断基準は人それぞれあると思いますし、実際に板を監視しまくって構築するのがいいのかなと考えていますが、一応なんとなくではありますが私の基準をお話したいと思います、

大きな成り買いや成売りはやはり強い動き

シンプルですが、成行で大きく買われればそれは最も強いサインとなります。

出来高が多ければ多いほど高得点と考えていいでしょう。

また、出来高だけでなく一瞬で何ティックも買ってきた場合はそれだけ強いサインと見なします。

画像左の歩み値の真ん中のように、691円から697円まで一気に成行で買われるようなケースは要注目です。

板状況からわかるように、明らかに出来高がこの取引だけ大きいし、これ単発で終わるとはとても思えない動きです。

実際にこの後730円まで上昇したので、この成買いに乗っかればけっこう利益を得ることができたケースでした。

ただ、理想を言えばこの成買いが入る前に買いを持っておきたいところですね。

 

KATORI
KATORI

大口の成買いサインは強力なサインとなるが、それが出る頃にはすでに相場が動き出しているので乗っかりにくいところが難点だなー

成買いと比べて強さは落ちますが、大口の指値買いもサイズが大きいものであれば板に与えるインパクトは強いです。

上の板の例で言えば134円の10800株を全て買い上げ、かつ134円の買い板に89200株が並ぶ、といったケースは板にインパクトを与えるでしょう。

つまり10万株の買い指値が入ったということになります。

約定したのは10800株でも、実質的には10万株となればその他大勢の注文と一線を画すことになりますね。

ステルス注文は売り買い両方でよく見られる

板に売り板が無いにもかかわらず、買い注文を出すと約定するような経験が皆さんもあるかもしれませんが、あれがステルス注文です。

つまり、誰かが買い指値を入れた瞬間に売り注文が入るアルゴということになります。

先ほどの画像で言えば、個人トレーダーが133円に買い注文を入れた瞬間に約定する、といった感じです。

ステルス注文はたしかにアルゴの存在が確認できるものですが、点数としては低く私は考えています。

というか、売り板にも買い板にもよく現れるアルゴですのであまり考慮する必要が無いように思えます。

色々な種類の見せ板

ある価格の指値注文だけが異様にボリュームが多い時は、見せ板の可能性があります。

見せ板も売り板と買い板の両方に現れたりしますが、相場が大きく動く前にはよく見られる板の動きです。

ですから注目に値する動き、ということで点数も中得点といった感じでしょう。

ここでは大引け後の板を例にあげるので値が飛んでいますが、上の画像では買い板が864円までしっかり並んでいるという前提で見てもらえればと思います。

 

上の865円の56600株という売り指値は、他と比べて異様なボリュームですね?

こういう板が出てきたら何らかの意図があってやっている可能性があります。

では一体どういう意図がこの売り指値に潜んでいるのでしょうか?

大口の立場になって考えてみましょう。

 

いくつか可能性が考えられます。

  1. 個人の売りを誘って買い集めたい
  2. 865円で本当に56600株売りたい
  3. 865円より上に行かせたくない
  4. 売り方の単純に下げたいという意思

他にも可能性があるかもしれませんが、大きな指値注文が入ってきた時は私はこんな感じで見ています。

この中で2番はもっとも可能性が低いと考えるべきでしょう。

なにしろ本当に56600株を売りたいのなら、小分けした方が売りさばけるからです。

ただし上の画像は大引け後の画像になりますので、大引け前であれば若干2番の可能性もあるのかなと。

大引け前は多くの買い注文も入りやすいので、引け買いも含めて56600株が約定する可能性もあるでしょう。

大引け前のタイミングであれば、この場合は3番と考えるのが妥当なのではないかと個人的には思います。

何らかの理由で価格を865円に留めておきたかったのかなと思いますが、やはり実際のところは当人にしかわからないでしょう。

 

大引け前ではないザラ場の時間帯であれば、1番と4番を考えるようにしましょう。

4番の場合はしっかりとした売りがどんどん入ってきて、この56600株が860円→855円→850円とどんどん移動していく(ムービング)のが特徴的です。

 

1番の場合は買いを狙うチャンスになり得ます。

いきなり現値の865円に大きな売り指値注文が入ってくれば、連鎖的に864円以下に売り注文が入ります。

買い方の個人トレーダーがぶん投げたり、あるいはそういう時に売るようになっているアルゴが発動しているかもしれません。

ところがしばらくすると865円にあった56600株が無くなり、価格が一気に上へ動く、という現象が起きる事があります。

 

KATORI
KATORI

大口は見せ板を使って売りを誘い、864円以下を集めていたということになるね。

大口と一緒に拾うことができればけっこうな利益を得ることができるだろう。

 

見せ板はサインとしては成買いより点数が低いものになりますが、まだ大きく上昇する前段階の動きであることが多いので、狙いどころとしてはこちらの方がおすすめです。

見せ板を使ったアイスバーグ注文

見せ板を使って買い集める際によく使われるアルゴがアイスバーグ注文です。

先ほどの例で言えば、865円にまず大きな売り指値が入ってきます。

そして864円の買い板が売られていくわけですが、この時に何度も何度も864円の買いが入ってくるのがアイスバーグ注文です。

特徴としては100株などの小さいロットで何十回も買い注文が入ってきます。

ちなみにアイスバーグとは氷山の事です。

見えている部分は氷山の一角であり、その下にはもっと大きな買い注文が潜んでいるということになります。

 

KATORI
KATORI

大口が買い集める時には小分けした方がバレにくいからね。

見せ板とアイスバーグ注文の両方が確認されれば、さらに点数は1段階加点されると考えてもいいだろう。

 

アイスバーグ注文は見せ板無しの単体で現れることもありますので、歩み値と合わせてよく観察してみるといいかと思います。

板は厚い方へ流れるというアノマリーについて

売り板と買い板を見て、明らかに片方が厚い場合は注意が必要です。

たしかに板が厚い方へ価格は向かいやすい傾向があり、そういう時は大きな値動きも伴いやすいです。

ただし当たり前ですが、板が薄い方へ価格が動くこともありますのでそれだけで判断するようなものではありません。

 

それぞれどのぐらいの確率で厚い方薄い方へ向かうのか、これはぜひご自身で検証してみてください。

1つ言えるのは、ほとんどの人が負けるトレードの世界で、板の厚い薄いという統計だけで勝てるはずがないということです。

UNDERが多いとかOVERが多いといった類の話もそうですが、それだけで勝てるなら苦労はいらないのです。

 

どうして板は厚い方へ価格は向かいやすいのか?

 

この疑問の答えはどのサイト、教材でも明確に説明されていないかと思います。

というか、中の人にしかわからない領域なのだろうと思います。

個人的な考えですが、私は板が厚いのは大口の利益確定がおおいに関わっていると思います。

例えば上の画像の買い板を見た時、私は「売り方の目標は128円なのかな」という目で見ます。

実際に128円まで下がる場合は、これらの買い板はほとんど全て約定して下がっていきます。

つまり見せ板では無いというケースがほとんどです。

価格がもっと上にある場合も、131円、130円、128円に並んでいる買い板が消えたりはしません。

私はこれは売り方の利益確定の買い指値だと考えています。

 

ですから、「128円まではどうにかして持っていくんだろうな」とか

逆に「119円以下はスカスカだからここまでは行かないんだろうな」

といった感じで板を見ます。

確たる根拠があるわけではないですが、実際にそうなることも多いのでぜひ検証してみてほしいと思います。

まあ上の例は大引け後の画像なので、結局128円まで下がらなかったわけですけど。

 

「じゃあ128円まで誰がそんな大量に売るんだ」

という突っ込みが入るかと思いますが、これは自作自演の取引もおおいに活用するんだろうと思っています。

つまり、自分で買い指値注文を出しておきながら自分で売って約定させる。

そんなことを繰り返しながら売りを誘うのではないかと思います。

 

いろいろ難しく妄想するとキリがないので、シンプルに考えていきましょう。

 

大口が売り玉を利益確定させるには、個人トレーダーのぶん投げが必須になるかと思います。

我々個人トレーダーがぶん投げる時はどんな時でしょうか?

信頼していた厚い買い板が一気に崩されて急落し、パニックになった時ではないでしょうか?

利益確定の買戻しにそのパニック売りをぶつけるのが、大口のオーソドックスな戦略なんだろうと思います。

これが板は厚い方へ流れる理由だと個人的には考えています。

 

ちなみにSBI証券のフル板では、上の画像のように現在値より遠くの価格帯の板状況もリアルタイムで見る事できますので、板読みする上でおすすめになります。

板読みのやり方まとめ

  • 板読みの前にチャート分析が前提として存在する
  • 板読みは今現在の買いと売りの強さを点数化するもの
  • 各アルゴの出現で採点を行う
  • 見せ板は特にエントリーポイントとして注目すべき
  • 板が厚いのは大口の利益確定による指値注文?

難解な板読みですが、上昇や下降のサインとなることはたしかにあります。

なかなか仕事をしているとちゃんとした統計を取ることも難しいですが、強い優位性をまだまだもっと見つける事ができる分野かと思います。

ぜひ中の人にお話をうかがってみたいですねー(メッセージお待ちしております。)

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