どんな凄腕トレーダーも損切りは必ず行います。
勝率100%というトレードは存在せず、自分の思惑と違う動きを相場がした時には損切りの判断をせまられます。
損切りは機械的に行う必要があり、迷っているとどんどん損失が膨らんでいく可能性もあります。
個人投資家は損切りが苦手な人が多く、それが原因で負け組のままというケースもしばしばあります。
なぜ損切りが難しいのか?
そして確実に損切りを行うにはどうすればよいのか?
今回はメンタル的な話も絡めてお話をしていきたいと思います。
損切りは難しい?
まず大前提として、損切りをどこで実行するのかはエントリーの際に決めておく必要があります。
そして、それはエントリーの根拠が失われたところで行う、という一言につきます。
損切りが難しいと感じる人は、エントリーの段階で逆指値の損切りを設定しおけば間違いなく機械的に行えます。
これで損切りが出来ないという課題はクリアできるのですが、できれば手動でも迷いなく損切りを実行できるようにしておきたいところです。
損切りの苦手意識を無くすには、まず損切りが難しいと思う原因から知っておく必要があります。
利益の喜びよりも、損失の痛みの方が感情が強い
例えば同じ1万円であっても、1万円を得る喜びよりも1万円を失う痛みの方が、感情としては3倍強いそうです。

どういう根拠かわからんが、なんとなく理解はできるよな。
損切りってのはいつだって身を切られるような感覚があるもんだね。
この強い痛みや恐怖の感情が損切りの難しさの原因です。
いざ損切りを実行しなければならない局面になると、「もう少し待てば戻すんじゃないだろうか?」などと考えてしまい、なかなか損切りができなったりするものです。
そして、そんな時によってさらに損失が膨らんでいく結果になりがちです。
「また損切りできなかった、自分はダメだ」と自らを蔑んではしばらく経ってまた同じことを繰り返す…
という負のループに陥る方も珍しくないようです。

損切りが難しいのはその人の性格の問題ではない。
人間の心理としてそういう構造になっているだけの話であり、そんなもんだという理解をすることがまず必要なんだ。
それでは、損切りの難しさを理解したら具体的にどう対策をすればいいのでしょうか?
自分の損失許容額を理解し、損切り幅を設定する
損失許容額というのは、一体自分がいくらの損失でまともじゃなくなるのかということです。
1万円なのか5万円なのか10万円なのか…これはもちろん個人個人で変わってきますので、自分でしっかりと認識しておかなければなりません。

例えばかなり小さいポジションを持っていたとして、100円の損失が200円になってもほとんどの人が何も気にしないだろう。
しかし、それが全財産を投じたポジションとなれば別だろう。
一喜一憂して当たり前だということになる。
一喜一憂するポジションを持つ時、そのトレードは大抵ろくなことにはなりません。
正常な判断ができない心理状態になっているわけですから、当然の結果ですね。
逆に何も気にしないというメンタル、この状態になるだけで勝つ確率は上がります。
ですから、自分の損失許容額に達しないように損切り幅とポジションのロットを調整する必要があります。
正常なメンタルを保てる範囲でトレードを行う、ということになりますね。
損切りは必ずするものであると理解する
どんなトレーダーでも損切りをするものであり、それに対していちいち痛みを感じていると埒があきません。
初心者のうちはどうしても勝率をあげる事に意識が向かいがちで、勝率を100%にすることを求めてしまいます。
しかし現実的に勝率100%というのは難しく、目指すべきものではありません。
勝率100%を目指すと、損切りになる事態を許容しづらくなります。
損切りは必要経費という風に考えるといいでしょう。
これは必要なコストであるという意識を常に持って行うべきかと思います。
リスクリワード比を意識してトレードを行う
適切な損切り幅を設定するのと同時に、リスクリワード比も適切なものになっているか確認をしましょう。
リスクリワード比とは損失と利益の比率です。
トレードにおいては勝率もおおいに絡んできますが、例えば1万円の損切り設定をしたならばやはり利確位置は1万円以上を望みたいところです。
コツコツドカンという言葉がありますが、利益はいつも少額にも関わらず、損切りでいつも大きくやられる。
これではやはり資産を増やすことは難しくなるでしょう。
リスクリワード比の話は勝ち組トレーダーになるための考え方の記事の期待値の話と同じものですね。

エントリーの根拠を明確にする
エントリーの根拠が明確であればあるほど、損切り位置に迷うことは少なくなります。
重要なのはエントリーの根拠がまず先にあって、そこから損切り幅と損失許容額を計算して、ロットを調整することです。
てきとーな場所でエントリーを行うと、どこで損切りを行えばいいかも明確にならず中途半端なものになります。

ちょっと取れればいいやって感じでてきとーにエントリーしたやつに限って、ひどいことになったりするから不思議だよね。
上の絵ではダウ理論を元に戻り高値を更新した上昇を見てから、押し目を狙った買いエントリーを行っています。
このトレードであれば、青い損切りラインを設定しやすいですね。
もちろん青いラインはもう少し高くても安くても構いません。
このトレードでは、エントリー部分は押し目であるという根拠で行っておりますので、エントリーの根拠は青いラインを割ったことで消滅します。
このように明確な根拠でエントリーを行うことで、損切りの設定は簡単に行うことができます。
この時に、エントリー位置から損切り位置がなるべく近い方が望ましいですね。(近すぎるほどロスカットにはなりやすいですが)
損切りをしないという選択肢
損切りをずっとせずに保有している状態は塩漬けなどと呼ばれていますが、損切りは何があってもしないと最初から決めて保有し続けるという戦略もあります。
投資はするべきか?の記事でもお話をした長期投資ではそのような戦略をとる方が多いようですね。

いくら含み損を抱えたとしても、長期的に上がっていくのであれば持っているだけでいい、という考え方ですね。
100%安心とは言えないでしょうが、アメリカ株やオルカン、安定して成長を続ける企業などはこういう戦略も取れるでしょう。
また配当取得が主な保有目的であり、配当さえ出し続けているなら株価がいくらになっても関係ない、という考え方もありますね。
こういった長期投資は実際に成功する確率は高いですし、最初から損切りをしないという鉄のメンタルでトレードを行っているので戦略がぶれる事もありません。
まさに最強の投資法と言えるでしょう。
損切りの重要性まとめ
今回は損切りについて話をしてきました。
損切りに失敗して大きく資金を失うトレーダーは多く見られます。
たった1回のミスがとんでもない損失を生む結果になることもあるでしょう。
なので損切りは確実に毎回、100%プラン通りに実行できるようになる必要があります。
エントリーの根拠、損切り設定、利確位置、必ずこの3つを同時に明確に考えてトレードに臨むようにしましょう。
コメント