資金管理をしっかり行うということは、トレードにおいてもっとも重要な事だと言えます。
なぜなら、相場はとてつもなく危険な動きをする時があり、その時に対処を誤れば立ち直ることができないほどの損失を抱えることになるからです。
初心者のうちは「自分だけは大丈夫」という根拠のない自信を持ってしまうことがあり、相場に対して甘く考えてしまうものです。
資金管理については、たしかに1度大負けをしないと身に染みて理解できない部分はあるでしょう。
しかし、1度もそういう経験をせずに上達することができるのであれば、その方がいいに決まっています。
今回は資金管理について、私自身の経験や実際に私が見てきた例も具体的に紹介しながら説明をしていきたいと思います。
相場の怖ろしさを再確認するきっかけになってもらえればと思います。
資金管理とは何なのか?
資金管理というと、皆さん「大きなポジションを取らなきゃいいんでしょ?」と思われるかと思います。
それはたしかに正解です。
ポジションサイジングと言いますが、毎トレードで自分の資金量に適したポジションに抑えておくのは大事な考え方です。
総資産の〇%に抑えるべき、とか全て失っても問題ない余裕資金で行うべき、というのはよく聞く話かと思います。
しかしそれは理想論であり、ある程度大きくポジションを取らなければ資産を大きく増やせないのも事実でしょう。
私はトレード毎に強気で攻めるものと、慎重に攻めるものとで資金管理を変えています。
検証によって期待値が高いとわかっているような鉄板チャートでは強気にポジションを取っていきますし、含み益が出てきてからそれを背にして追加で買い増していくような戦略も取ります。
ところが、初心者の方は慎重に攻めなければいけないものに対してあり得ないほどの大きいポジションを取ります。
とんでもなく大きく動いた銘柄に対し大きなポジションを取り、借金を抱えるといったケースもしばしば目にします。
このような光景は特に株の世界でよく見られ、twitterなんかで破産した人を見ると、本当にいたたまれない気持ちに毎回なります。
とんでもなく動く銘柄というのは、株の世界では必ず常に存在しています。
その1年は存在していなくても、2~3年もすれば必ず出てくるものです。

テンバガーなんて言われているけど、元の価格の10倍になる銘柄もある。
そういった銘柄が天井をつけた後どうなったのか?
よくよくチャートを見ておいてほしいと思う。
なぜ初心者の方はそういう銘柄を触ってしまうのか?
なぜ借金を抱えるまでに至ってしまうのか?
このあたりのお話を次にしたいと思います。
信用取引は全力ダメ!ゼッタイ
信用取引というのは、例えば100万円証券口座に入っていれば約300万までポジションを持つことができます。
証券会社にお金を借りている状態と言ってもいいでしょう。
信用全力というのは300万円分いっぱいにポジションを持つことで、これをハイリスク銘柄に対して行うのはもはやギャンブルという他ありません。
さらには信用2階建てと言われていますが、100万円で現物ポジションを持ち、さらにそれを担保に信用取引で同じ銘柄のポジションを持つ、というやり方もあります。

信用全力も信用2階建ても絶対やらないようにしてくれ。
逃げ場のない下げが起こった時はどうにもならなくなるからね。
株の世界では売りたくても売れない、買いたくても買えないという逃げ場のない時があります。
ストップ安、ストップ高の事ですね。
元値から何倍も大きく上昇した銘柄は、決まって下がる時も派手に下がります。
まだまだ上がるだろうと根拠なく高値掴みをして、連続ストップ安により売ることができずに借金を抱える、というケースを本当によく目にします。
こういう方達の特徴として、掲示板やSNS等で他の人の意見に流されているというものがあります。
銘柄や材料に惚れんではいけない
大きな材料を伴い大きく上昇した銘柄というのは、ランキングやニュースなどでも話題になり、どんどん相場参加者の注目を浴びます。
Yahoo掲示板を見てもらえればわかるかと思いますが、匿名なのをいいことにまあ色んな人が色んな事を言っています。
Yahoo掲示板を見ていると、その材料やニュースがどれほど凄い事なのかというような書き込みを多く見かけますね。
初心者の方はこういった書き込みに影響を受けてしまう事がよくあります。

買いポジションを持ってしまうとその傾向はさらに強まるだろう。
無意識のうちに買い推奨のコメントは肯定的に読み、売り推奨のコメントは否定的に読んでしまうものだ。
そして「この銘柄はとんでもない材料をまだまだ抱えているから、もっと上がるはずだ」
というような思考回路に陥ってしまいます。
特に掲示板がそういう雰囲気一色になってきたら危険です。
なぜなら、相場は大勢が思ってる通りには大抵ならないものだからです。
買い煽りのコメントをしている人が個人なのか、機関なのかは私にはわかりませんが、トレードは他の人の意見にまるまる乗っかっては絶対いけません。
他人の言う通りにトレードをして負ければ、そいつのせいで負けたと考えてしまうでしょう。
それではトレーダーとしての成長はありません。

トレーダーたるもの自分1人で全てのトレードプランを考え、完結させるべし。
他人の言う事を聞いて負けたところで、そいつは助けてくれないんだ。
もちろん他の人の意見を参考にする程度ならおおいにした方がいいでしょう。
私もYahoo掲示板はニュースの材料を調べたり、決算の受け止め方などの反応を見たりと活用することもあります。
twitterなんかもとても参考になる有益なアカウントはフォローして見させていただいてますし。
要は掲示板にしろSNSにしろうまく使っていかなければならないのです。
インフルエンサーを信用してはいけない
インフルエンサーみたいな人が言う事も基本的には信用しない方がいいでしょう。
その人が明らかにトレードがうまいと普段の発信で証明していればある程度は信用できますが。
例えばtwitterではフォロワー数が多くても下手くそなトレーダーは腐るほどいます。
逆にフォロワー数が少なくてめちゃくちゃうまい人、有益なツイートをしているという人もけっこういます。
どうせ見るならそういった人を探して参考にするといいかと思います。
テーマ株、材料株の末路
ここからは実際にとんでもない動きをしてきた銘柄達を紹介していこうと思います。
どれもリアルタイムに私が見ていたもので、私自身も戒めとして今でも絶対に忘れないようにしているチャートばかりです。
こちらは2019年のサンバイオというバイオ銘柄です。
比較的最近なので知っている方も多いかもしれませんが、画面右側の4つの点は寄らずのストップ安です。
最高値12730円あった銘柄がストップ安の連続で2440円でようやく値をつけました。
実に10000円、100株でも100万円も値が飛んだわけです。
このようにバイオ銘柄はとんでもないハイリスクを抱えています。
新薬の開発というのはたしかに魅力的な材料ですが、一方で治験に失敗したり、開発が頓挫したというニュースがでればこのような値動きになったりするわけです。
こちらは2016年のアキュセラというバイオ銘柄です。
2016年あたりはバイオ銘柄はテーマ銘柄として広く買われ、あらゆるバイオ銘柄が大きく上昇しました。
いわゆるテンバガーを達成したような銘柄がいくつもありました。
今では当時の価格と比較して、ほとんどの銘柄(全部かも)が悲惨な株価になっています。はっきり言って異常な相場でしたね。
なかでもひどい値動きだったのがアキュセラかと思います。
こちらは脅威の6連続ストップ安になりました。
そして最終的には上場廃止になりました。
アキュセラで借金を抱えた人も当時だいぶ見かけた記憶があります。
今でも検索をすれば、そういった記事が出てくるでしょう。
あまり見たいものではありませんが、反面教師として1度はそういった記事も見ていただきたいと思います。
やはり当事者達の生の声というのが1番響くものですからね。
FXでも大きな変動リスクはある
株だけでなく、FXの世界でもとんでもない動きをするときはあります。
フラッシュクラッシュなどと呼ばれていますが、理由なく大口が売りを仕掛けてくることもありますし、世界的な大きなニュースによって動くケースもあります。
上のチャートはポンド円の日足チャートです。
2016年6月24日、国民投票によってブレグジットが決まりましたね。
その結果が真ん中あたりの大陰線になります。
およそ160円から133円に下がりました。
単純にロングで1ロット持ってれば27万円もの損失になる計算になりますね。
ただ、FXの場合は強制ロスカットが発動しますし、ブレグジットのようなニュースであっても逃げ場がない状態ではありません。(もちろん急激に動いているのでロスカットはかなり下に滑ってしまいますが)
そういう意味では、株の方がやはり怖ろしい値動きをするよなーという印象ですね。
上場廃止リスク銘柄
アキュセラのようなバイオ銘柄でなくても、上場廃止リスクがある銘柄には一切触らない方がいいでしょう。
私も恥ずかしながら、上場廃止リスクのある銘柄を買っていて、すべて紙切れになってしまった経験があります。
上場廃止リスクのある銘柄というのは、上場廃止になる前に派手なマネーゲームが始まるのがよくあります。
「もしかしたら助かる可能性がある」みたいな情報が出たり消えたりして、壮絶なマネーゲームが上場廃止の期限まで行われます。
おそらくこの手のニュースはマネーゲームをするためのきっかけ作りにすぎないでしょう。
本気で上場廃止が回避できるなどとは考えず、やるなら遊び程度の気持ちでマネーゲームに参加するようにしましょう。
とはいえ触らないに越したことはありません。
倒産リスクが発生した銘柄は継続企業注記とか疑義注記とか表示されるので、これが表示されている銘柄は触らない、などルールを決めていくといいと思います。
上の銘柄のチャートもひどい事になっているので、よければ参照してみてください。
大きく資金を失ってしまったら
ハイリスクな銘柄でなくても、思わぬニュースや値動きで大きな損失を出してしまうこともあるでしょう。
そういう時に平然としていられる人はまずいないかと思います。
落ち込むのか、逆上するのか、トレードをやめたいと思うのか…
おそらく人それぞれ性格によって変わってくるのかと思います。
そんな時やめた方がいいのは取り返してやろうと思う事です。

こういうのをリベンジトレードというが、大抵さらに負けることになるから絶対やめておいた方がいいぞ。
トレードはメンタルがかなり重要になってきますので、平常心ではない状態でトレードを行えば高い確率で負ける結果になります。
ですから、大きく資金を失った時にはまず冷静な心理状態に戻す必要があります。
そうなるまで何日も、場合によっては何カ月も時間をかける必要があるかもしれませんね。
私自身も、過去に大きくやられた時はトレードを一切行わずにまじめに働いて資金を回復させました。
もちろんその間も毎日検証だけは欠かさず行っていました。
「これだけ負けても諦めが悪いんだから多分トレードは一生やってるんだろうな」
などと考えていたのを今でもよく覚えています。
トレードで絶対に成功したいのであれば、資金を大きく失ったとしてもまた1からやり直せばいいのです。
技術さえ磨けば少ない資金からでも大きく増やし続けることができるのですから。
これは私のリアルな12月の日経平均先物の成績です。
私は最小ロットのミニ1枚、2枚程度からポジションを持つようにしています。
ミニ1枚を建てるのに必要な証拠金は12万円程度です。
タネは何百万も必要ではありません。
もちろん多ければ多いに越したことはありませんが、100万もあれば十分だと思います。
あとは上の結果が出せるように技術を身に着ければいいだけの事です。
あれだけ負け続けてきた私が勝てるようになったのだから、誰でもやり方次第で可能だと私は思っています。
ですから、借金だけは抱えないでください。
先ほどのバイオ銘柄のような銘柄に信用全力して大負けをすれば、再起することも難しくなってしまいます。
私が当サイトを作ってる理由の1つに、悲惨なことになる人を1人でも減らしたいという思いがあります。
自分自身が負け続けてきたわけですから、少しは気持ちがわかっているつもりではいます。
ぜひこのメッセージが1人でも多くの人に伝わればと思っております。
資金管理まとめ
今回は資金管理について、かなり私の私情を織り交ぜながら話してきました。
資金管理の大切さ、株やFXの怖ろしさが少しでも伝わったでしょうか?
今回紹介したものはほんの1例で、他にも色んな例がこれまでありました。
トレードの世界は入れ替わりが激しい世界です。
毎年多くの人が退場し、また多くの人が新規参入をしてきます。
このサイトを見に来ている方々は、おそらく勉強熱心な方々だろうと思います。
間違いなくテキトーにトレードしている連中よりも、勝ち組トレーダーになれる確率は高いでしょう。
しかし、1割しか勝ち組トレーダーはいないと言われており、勉強熱心なだけでは勝てないのがこの世界だと思います。
勝ち組トレーダーになるためには、知識だけではなく経験も必要です。
まずはこのトレードの世界に残り続ける、という目標も持つべきだと思います。
時間をかけることによって新しく見えてくるものもいっぱいあります。
でも、そのためには資金管理を徹底しないといけません。
だから、この資金管理の話は重要度★★★★★なのです。
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