ダブルトップやヘッドアンドショルダー、トライアングル、フラッグ、平行レンジなどなど。
あらゆるチャートパターンは形成後、ブレイクして価格が比較的大きく動きます。
その際に動く値幅というのは実はある程度決まっていて、どのチャートパターンもそのチャートパターンの上から下までの値幅分ブレイクポイントから動く、とされています。
今回はチャートパターンの値幅と、各チャートパターンのエントリーの考え方について解説していきたいと思います。
ダブルボトムの値幅とエントリーのやり方
チャートパターンの基本形をおさらいしておきたい場合は、以下の記事を参照してみてください。

ここではダブルボトムを例にあげて考えてみますが、ダブルトップの場合も同様です。
ダブルボトムは赤いネックラインをブレイクすると、ダブルボトムの完成とされています。
その際、ネックラインまでの戻りを待ってエントリーをするというやり方が教科書等でも広く紹介されていますよね。

復習になるが、これはサポートラインだったネックラインがレジスタンスラインに転換する、ロールリバーサルの原理を使ったエントリー方法だね。

続いて値幅ですが、緑色の矢印で示したように底値A、Bからネックラインまでの長さと同じだけ、ネックラインから上がっていく、と言われています。
もちろんこれらは教科書的な説明で、そうならない場合もありますしエントリー方法についても、上の絵のようにきれいにできない事も多いでしょう。
ぜひご自身の目で、実際のチャートでどれほどこのような現象が起きるのか確かめていただきたいと思います。
ちなみに値幅については、割とこの説明の通り動くことも多いと思いますので覚えておくことをお勧めします。
ダブルボトムの2つの底値の位置
あまりにも教科書的な説明しかしていなかったので、ここで1つオリジナリティ溢れる解説をしてみたいと思います。
ダブルボトムの2つの底値は左側と右側どちらが安い方がいいと思いますか?
まったく同じというケースもあるかと思いますが、大抵は多少の誤差があるものですよね。
私は右側が安い方が次のエントリーにつなげやすいと考えています。
なぜなのか?
左側が安いというのはこのようなダブルボトムになりますよね?
しかし、この形というのは実は…
ダブルボトムだと思ったところはフラットの修正波(赤いN字)で、さらに下落トレンドが続いていく、というケースも考えられるのです。

フラットの修正波については、エリオット波動の記事を復習してみてくれ。

こういったリスクを考えれば、右側の底値が安いダブルボトムの方がいいでしょう。
この場合ですとネックラインをブレイクしたと同時に、戻り高値もブレイクしたことになりますから、トレンド転換の信頼度も高まると言っていいかと思います。

この戻り高値が、注目された戻り高値ならばなおさら信頼できる形になる。
注目された戻り高値ならば、ダウ理論における下降トレンドの終了を意味するものだからな。

ヘッドアンドショルダーの値幅とエントリーのやり方
ヘッドアンドショルダーについてもダブルトップ、ダブルボトムと同様に考えてもらえればよいかと思います。
そして、動く値幅は頭からネックラインまでの距離がネックラインブレイクから動くとされています。
エントリーポイントはすでにチャートパターンの基本編で紹介していますが、ネックラインまでの押しや戻りを狙うのが教科書的なやり方です。(画像はトリプルトップですが、同様です。)
そしてこちらも紹介済みですが、ヘッドアンドショルダーも右肩下がりの形の方が空売りを狙う際には有効になってきます。
この場合ならばネックラインまでの戻りなどを狙わずに右肩でエントリーを狙っていく方が断然いいでしょう。

理由はダブルボトムで話した通り、重要な押し安値を割っているからだね。
ヘッドアンドショルダーの場合は、ネックラインブレイク後のネックラインまでの戻りというのはあまり期待できないかもしれません。
やはり下落というのはスピードを伴う事が多く、戻りがほとんど見られないような下落もよくあるからです。
また値幅も頭からネックラインまでの距離どころか、それを遥かに超えるほど下落することもあるでしょう。
それほどヘッドアンドショルダー形成後の下落というのは怖い動きなのです。
トライアングルの値幅とエントリーのやり方
トライアングルは通常a,b,c,d,eの5波動で形成され、これまでのトレンド方向へブレイクしていく、トレンド継続の保ち合いチャートパターンです。
動く値幅としてはトライアングルの中の最大値幅分(青い矢印)ブレイクポイントから動くとされています。
これは検証してみてほしいのですが、割と再現性が高く、使えるものだと思います。
先日ツイートさせていただきましたが非常によく出てくるパターンですし、リスクリターンもいいトレードが出来ますので、積極的に狙えるようになってほしいと思います。
エントリーのコツですが、c波あたりで「トライアングルっぽいな」というイメージを持っておかないと難しいです。
このあたりは経験や慣れもかなり必要になってきますので、動いているチャートで常にどういう形になるのかイメージをして、チャートを見ていく訓練をしましょう。
なお安値切り上げのアセンディングトライアングルや、高値切り下げのディセンディングトライアングル、フラッグも同じ考え方になります。
平行レンジの値幅とエントリーのやり方
平行レンジは一般的な長方形のようなレンジの形です。
レクタングルフォーメーションという言い方もされていますが、こちらもレンジの値幅分動くというのは他のチャートパターンと変わりません。
平行レンジの中ではレンジの上で売って下で買う、という戦略を繰り返して行うかと思いますが、レンジをブレイクしていったらただちに反対ポジションは損切りを行っていく必要があります。

こちらの記事でもとり上げましたが、日経平均は1年以上におよぶ平行レンジを上にブレイクした動きが現在のものと思われます。
平行レンジのエントリーポイントについては、実はなかなか難しいです。
というのも進行している平行レンジが実は平行レンジではなく、トリプルトップだったりする可能性もあるからです。

トリプルトップやトリプルボトムだけでなく、ヘッドアンドショルダーや逆ヘッドアンドショルダーにもなり得る形だったりすることもあるぞ。
とにかくレンジの中にいる時は、どちらへブレイクしていくのかということを常に頭に入れながらポジションを取ることが必要になります。
ダイヤモンドフォーメーションの値幅とエントリーのやり方
ダイヤモンドフォーメーションは珍しいチャートパターン達の記事の中で取り上げました。

ダイヤモンドフォーメーションも他のチャートパターンと同様に、ダイヤモンドの中の最大値幅分ブレイクポイントから動きます。
エントリーポイントとしては、ダイヤモンドが形成中の間に気づくことができればブレイクの瞬間に乗っかってエントリーを狙いたいです。
ダイヤモンドフォーメーションは左右対称の形になりやすいので、トライアングルなどと同じように終点が予想しやすいフォーメーションになります。
ですからブレイクの瞬間はなるべくリアルタイムで見ておきたい形になります。
もしイメージと違えば損切りすればいいだけですし、イメージ通りであれば大きな利益をあげることができます。
期待値の高いトレードが行えるチャートパターンになりますので、積極的に狙っていきましょう。
各チャートパターンの値幅とエントリーのやり方まとめ
- どのチャートパターンもチャートパターンの上から下までの値幅分価格が動く
- ただし実際には当然バラつきが出るので、検証は十分に行う
- トライアングルは形成中にイメージを持てるように練習する
- 平行レンジはブレイクを常に意識し、ブレイク後は反対ポジションはすぐクローズさせる
- 平行レンジはトリプルトップやトリプルボトムの可能性もはらんでいる
- ダイヤモンドフォーメーションやトライアングルは期待値の高いトレードが狙えるチャートパターンである
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