株の空売りと先物やFXでのショートのエントリーはかなり意味合いが変わってきます。
チャートの分析の仕方は変わらないのですが、株の世界では圧倒的に個人プレイヤーは買いが主体です。
買いが多数派で空売りが少数派、ということは空売りには優位性があると言えます。
トレードの世界では負け組が多数派であり、多数派に属するということは負ける確率が高くなるからです。
ただし、株の空売りを行う際には絶対に注意しておかなければならない事がいくつかあります。
今回は空売りの優位性と危険性の両方について解説を行っていきます。
空売りが少数派である理由
株の世界では空売りはあまり推奨されないのが一般的です。
空売りは絶対するな、と教える教材などもあるかと思います。
空売りが少数派となっているのにはいくつか理由があります。
- そもそも空売りできる銘柄が限られる
- 空売りは信用取引じゃないとできない
- 信用取引なのでリスクが高い
- 逆日歩が高くつくこともある
といった点があげられるでしょう。
それぞれの項目について優位性と危険性があり、両面の理解が必要になってきます。
株価の下落スピードが速い理由
ジワジワと3カ月かけて上昇して作り上げられたチャートが、わずか1カ月で元の価格まで下がってしまった。
などという経験を皆さんもお持ちかと思います。
1カ月どころかひどい場合は数日、というケースもあるでしょう。
株式市場でこのような動きが多く見られるのは、個人プレイヤーが圧倒的に買い方が多いからだと思います。
個人トレーダーは急激な動きにとても弱い傾向があり、相場がひとたび急落をすればパニック売りが連鎖的に起こることがよくあります。
(もちろんフリーズして損切りできず、塩漬けしてしまう個人トレーダーも多いでしょうが)
株価の下落スピードが速い理由としては、個人のパニック売りで相場がどんどん下がっていく、ということもあるでしょうが、それよりもまず機関投資家達の売り仕掛けがあるのではないかと私は考えています。
個人トレーダーが取る行動というのはいつも同じですから、大口の機関投資家達は個人トレーダーの動きをほとんど把握していると思います。
「こういう動きをすればパニック売りが起きる」
「ここを割れば損切りのぶん投げがたくさん出る」
といったデータはAIがしっかりと収集して活用していると思います。
私はいわゆる中の人ではありませんのであくまでも想像の話ですが、このあたりの動きは体感的に間違いないかと確信しています。
大きな値動きというのは常に大口プレイヤーが作り出しているもので、我々個人トレーダーはそれについていかなければいけません。
ということは、大口プレイヤーの売り仕掛けに右往左往するのではなく、一緒に空売りをして稼ぐという考え方も持つべきです。
空売りの優位性
冒頭でも触れましたが、株式相場で空売りを行う人は少数派です。
少数派ということはそれだけで優位性があるわけですが、これは特に株式相場の空売りにおいては強く表れています。
下落のスピードが速いということは、空売りが成功した時にガンガン含み益が増えていく、ということになります。
ちなみに私自身も空売りや日経平均先物のショートは得意で、空売りのタイミングがバッチリ決まった場合、あとは増えていく含み益を眺めているだけという余裕の展開になることがとても多いです。
下落相場の場合は戻りがほとんど無かったり、弱々しい戻りである場合も多いので、精神的にとても楽な展開が続いていくことが多いです。
他のページでも紹介をしましたが、私が売りエントリーを行った2022年12月の日経平均の下落などはまさにそういった展開となりました。

日経平均先物では個人もショートをよく行うけど、もちろん日経平均の現物と連動しているので先物も下落のスピードが速いことが多々あるね。
空売りを推奨しない教材も多いかと思いますが、私は空売りはリスクを十分理解した上でチャンスであれば積極的に狙うべきかと考えています。
リスクに関しては後ほど説明しますが、チャンスをむざむざ逃すのは非常にもったいないです。
ある程度勝てるようになってきたら、機会損失というのはなるべく減らしたい要素になってきます。
その1回のチャンスが1年の利益の大半だった、ということもあるのでチャンスは絶対に狙っていかなければいけません。
トレーダーの仕事の大半はチャンスを探すことです。
あとのエントリーや損切りや利確といったトレードプランを考えることは時間にして一瞬です。
ですから勝ち組トレーダーになるためにはぜひ、機会損失ということに対して敏感に考えるようになってください。
空売りのエントリーのやり方
株式相場においては、空売りのエントリーは買いのエントリーと少し考え方を変える必要がある部分もあります。
先ほども触れましたが、下落のスピードは速い事が多く、かつ戻りが弱かったり無かったりもするのでエントリーポイントは買いのエントリーより難しいと言えます。
もちろん買いの基本は押し目買い、売りの基本は戻り売りです。
このようにダウ理論や水平線を使った教科書通りのエントリーをまず狙うというのは基本になります。
ただし、この絵のようにしっかり戻りがあるのかはその相場次第です。
戻りが無い場合はどうするか、ここは事前にしっかり考えておきましょう。
- 追っかけで売りエントリーを仕掛けるのか
- その際は損切りラインをどうするか
- あるいは、戻りが無い場合は全て見送ると決めておく
スピードが速い展開が多いので、あらかじめトレードプランを練っておかないと冷静に判断がしにくくなります。
慣れないうちはお勧めしませんが、戻りが無い場合を想定して空売りの場合は天井を狙った逆張りエントリーも狙っていいかと思います。
例えばエリオット波動の5波動が明らかに出ていて、レジスタンスラインにもぶつかっていて、フィボナッチなどから考えても値幅が十分出ているような場合は、天井圏と仮定して売りを狙ってみるのもアリです。



逆張りエントリーはリスクも伴うから、違ったらすぐ切ること。
また、天井として仮定するなら複数の根拠が欲しいところだな。
もちろん根拠は多ければ多いほどいい。
最初のうちは天井は狙わず、戻りをしっかり待って売りエントリーを行いましょう。
先ほどの日経平均先物のチャートですが、こちらはしっかりと戻りを1回作ってエントリーの機会を与えてくれています。
ヘッドアンドショルダーを形成し、押し安値を割ったあとに戻りで右肩を形成しています。
こんな風に教科書的に動いてくれる相場は絶対に取らなければいけません。
こういう相場を取るためにテクニカルを勉強するのです。
「これは教科書通りのおいしいパターンになりそうだ」
とリアルタイムで瞬時に思えるように何度も学習し、理解し落とし込んでください。
上のチャートで言えば、右肩の部分を逃すともうエントリーポイントは無いと言っていいでしょう。
売りをしっかり取るには大きく下がってからでは遅いのです。

右下がりのヘッドアンドショルダーはチャンスだってのは前も紹介したが、割と見られるパターンだから他のチャートでも検証してみてくれ。

空売りの注意点
「買いは家まで売りは命まで」
という有名な株相場の格言がありますが、それほどまでに空売りはリスクを伴う事があります。
株において空売りは信用取引になりますので、銘柄選択には十分注意をしておきたいです。
基本的には空売りができる銘柄は大型株が多いのですが、小型株でも空売りができる銘柄もあります。
空売りができる銘柄を貸借銘柄と言いますが、この小型の貸借銘柄というのはよく仕手化します。

仕手株、資金力のある大口が株価を吊り上げてマネーゲームするやつだね。
とんでもない値動きをするからハイリスクハイリターンだ。
だが仕手株ってのは株式市場の祭りみたいなもんで、つい参加してしまうんだよな。
空売りができる銘柄の方が参加者はより集まり、より出来高もできます。
そして小型であれば少ない資金で相場を大きく動かすことができます。
上の銘柄のように、数日の打ち上げ花火で終わってしまうこともあれば、もっと長期間チャートを作り上げて動かしてくる銘柄もあります。
この銘柄は急騰前の株価から数日で3倍近くにも上昇しました。
ストップ高をはさんでいますから、安易に空売りを行えばポジションによっては大変な目にあうでしょう。
小型株の空売りは絶対にしない方がいいですが、小型株以外の場合においても空売りを行う際は、損切りと資金管理は徹底しなければいけません。

ちなみに、先ほどの3倍ぐらいの上昇ならまだかわいいもので、やはり過去にはとんでもない値動きをした銘柄が存在します。
もはや伝説となってしまいましたが、日本マイクロニクスという銘柄は株価200円台から6935円まで上がりました。
これも貸借銘柄ですが、こんな銘柄を空売りして損切りできずにいたら、と思うと血の気が引きますね。
では大型株なら安心なのか、というと必ずしもそうではありません。
たしかに、ほとんどの大型株は短期間で急騰するようなことはほぼありません。
しかしやはり中にはそういった動きをした銘柄もありました。
任天堂は誰もが知っている銘柄だと思いますし、日本の上場企業の時価総額ランキングは12位の超大型株です。
そんな大企業も2016年7月には13000円台から32700円まで急騰をしました。
現在では株価は10分割をしていますが、当時はかなりの値がさ株でした。
知っている方はピンときたと思いますが、材料はポケモンGOのリリースですね。
こんな大型株がこんな値動きするのか、と当時はずいぶん驚かされたのを覚えています。
なにしろ、1日の東証の売買代金のうちほとんどが任天堂だったのですから。
日本中のデイトレーダーもこの時は任天堂に集まったのではないでしょうか。
本当に株の世界は何が起こるかわからない、とつくづく実感させられましたね。
売り禁はしっかり検証
貸借銘柄に空売り注文が殺到すると株が足りなくなり、最終的には空売りが禁止されて以降できなくなります。
通称売り禁と言いますが、この売り禁になると仕手相場は終了して株価は下落していくと言われています。
「売り禁に買いなし」とか「売り禁の玉は金の玉」
などと言った格言がありますが、それは少し注意が必要です。
たしかに売り禁になった銘柄の末路は下落していって急騰前の株価に戻ることが多いですが、売り禁になった次の日から下がるとは限りません。
売り禁になってからもしばらく上昇が続くパターンもあるし、その場合は大きな含み損を抱えてしまいますので金の玉とは言い難いです。
逆日歩は金額を計算しておこう
貸借銘柄に空売りが殺到すると、逆日歩といういわば手数料が増えます。
これが時としてとんでもない金額になったりするケースもあるので注意が必要です。
逆日歩は毎日支払わなければいけないものになりますので、高額になると逆日歩だけでどんどんお金が減っていく状況にもなりかねません。
祝日や土日も費用が発生しますから、特に連休を挟む時などは注意が必要です。
空売りのやり方と注意点まとめ
空売りは下落のスピードが速い、というメリットに取りつかれがちです。
1度売りで簡単に勝ってしまうと、その成功体験が忘れられず売りばかりを狙いだす人も少なくありません。
日経平均先物の世界では特にショートの個人が負けまくっているというデータもあります。
先物の世界では必ず損切りを行う逃げ場が存在しますが、個別株はそうもいかない場合があります。
小型株の空売りだけは絶対にやめておいてください。
仕手株の末路というのはほとんどが悲惨な株価になりますので、売りを狙いたくなる気持ちは十分わかります。
ですがそれはギャンブルになってしまう可能性が高く、そういうところで勝負をするべきではありません。
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