出来高は主に株や先物チャートで重要視されています。
FXにおいてはなかなか正確に出来高を把握できないということもあり、重要度は下がるように思われます。
出来高は大口の動向が表れる数少ない指標の1つだと言えるでしょう。
普段と違って大きなボリュームの取引があれば嫌でも相場参加者から注目を浴びます。
出来高の増減から何を見て取れるのか?
他のテクニカル分析とどう併用していくのか?
今回はこのあたりを中心に解説を行いたいと思います。
出来高はトレンドを確認するツールの1つ
出来高は上昇トレンド中では上昇時に増加し、下落時に減少する。
逆に下降トレンド中では下落時に増加し、上昇時に減少する。
もちろん絶対とは言えないが、たしかにこういう傾向が強いことは間違いありません。
このパターンが続く限り、トレンドは継続しているという裏付けの1つになりますし、逆にパターンが崩れれば「ちょっと怪しいな、トレンドが転換するかも?」という素早い警戒をすることができます。

つまり高値を更新したのに出来高が少ない、なんて時には注意しておいた方がいいってことだ。
出来高の時点で気づけるのはけっこう早い段階だと言えるだろう。
ここでヘッドアンドショルダーの話を復習していただきたいと思います。

ヘッドアンドショルダーで頭を形成する時は出来高が減少することが多い
この現象はまさにトレンドが転換しつつあるサインだという事ですね。
出来高は価格に先行する
ヘッドアンドショルダーの例のように、価格が大きく動く前に出来高が先に動くケースというのは多くあります。
前回の高値を上に抜くという動きは、通常は大きな出来高が必要になるものです。
なぜなら前回の高値を目標に利確をしてくる売りや、前回の高値を目標に新規で空売りを浴びせてくる相場参加者は多く、それらの売り圧力を上回る買い圧力が必要になってくるからです。
上のチャートでは、高値は更新をしていくのに出来高は減少しています。
注目すべきは、最高値の部分ではローソク足が非常に小さい値幅になっており、相場の転換を表すローソク足の形(トライスター)になっています。

そして、高値の部分以外でも全体的にも出来高が減少しているのがわかります。
このような逆行現象をダイバージェンスと言いますが、最高値付近で商いが細ってくるということ自体に違和感を感じるべきと思います。
このような弱々しい高値更新はダマしのブレイクアウトとも言えますが、このダマしのブレイクアウトを見抜くのにも出来高は判断の1つとして使える事ができます。
ダマしのブレイクアウトは高値安値の更新だけでなく、上のようなトライアングルでも見られます。
トライアングルを下にブレイクと思いきや、それはダマしで上に行くような動きですね。
本物のブレイクアウトは大きな出来高を伴うのがセオリーです。
個別株の出来高急増は要注目
個別株では1つの材料で株価が急騰し、出来高が普段の何百倍にも急増するようなパターンがよく見られます。
こちらの銘柄は長らく底を這っていたようなチャートでしたが、株式取得のニュースが報じられ急騰する動きになりました。
出来高も普段は1日に1万株程度のものでしたが、この日は483万株もの取引になりました。
とはいえ長い上ヒゲになってしまい、普通に考えれば上にシコリを作ってしまったように考えてしまいます。
ところがその1カ月後、同じニュースの続報(完全子会社化)が出され、株価はさらに急騰しました。
出来高も今度は1800万株にも膨れ上がりました。
しかしその後はダラダラと株価は下がり、元の価格に戻ってしまいます。
つまりただのマネーゲームとして大口が動かしていたのだと想像できます。

材料がどれだけすごいかは株の世界ではあまり意味はない。
大抵は大口が相場を大きく動かすためのきっかけ作りにすぎなかったりするもんだ。
ここでは材料や大口の動向に関してはあまり説明はしませんが、出来高が急増した個別株はその後の監視をしておくと面白いことが起きるかもしれません。
大相場というのは、決まって初動の動きとしてこういった出来高急増の動きが見られます。
大相場の途中でエントリーを行うのは非常に難しいので、大相場を狙いたいのであればできるだけ初動を狙う必要があります。
「株探」などのサイトでは出来高急増の銘柄をスクリーニングできるので、ぜひ活用してみましょう。

出来高の見方まとめ
今回は出来高について説明をしてきました。
出来高はトレンドの継続と反転を先行して表すことができ、移動平均線とは逆に価格が動く前の指標として使うことができます。
ただし、それはあくまでも教科書的な話で絶対ではありません。
やはりこちらも他のテクニカル分析と併用して使い、どれぐらい教科書的な話が通用するかは各々必ず検証して自分の中に落とし込んでもらいたいと思います。
コメント