日銀がYCC修正で相場は乱高下

コラム
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7月28日(金)正午過ぎ、日銀は事前の報道の通りYCC修正を発表しました。

これにより相場は乱高下をしました。

というのも、実際の長期金利がどう変化していくのか見方が分かれたのです。

つまりその時点での解釈の仕方がいくつか存在したということですね。

記者会見が15時半から控えていたので、そこでの説明を詳しく聞けばわかるはずなのでそれが待たれましたが、その間の相場は大きく上下に動きました。

今回のYCC修正について、どういう変更だったのか、どうトレードをすべきだったのかをわかりやすく解説してみたいと思います。

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YCCとは?

金利の話というのは難しく、トレーダーでも多くの人が理解していない分野かと思います。

実際に今回の日銀発表を受けても、ほとんどの人がどう受けてめていいのか理解できていない状況だったと思います。

それをいいことに機関投資家も今回は好き放題相場を動かしてきたかなーという印象があります。

ぜひ機関投資家に振り回されないよう、最低限の知識は身に着けておきましょう。

 

さて、YCCというのはイールドカーブコントロールの略ですね。

後藤達也氏noteより引用

 

わかりやすく説明するなら、上のような形を保つように日銀がコントロールすることです。

例えば上の曲線とは逆に、2年債利回りが高く10年債利回りが安い、みたいな状況を逆イールドと言ったりして、皆さん聞いたことがあるかと思います。

逆イールドのような状況は歪な状況と言え、よく暴落の前兆とも言われていますよね。

YCCをどう修正した?

では、今回の日銀はどこを修正したのか説明していきます。

後藤達也氏noteより引用

また後藤達也氏の画像を使わせていただきますが、今回の修正については後藤さんがもっとも詳しくわかりやすく解説されているかと思いますので、ぜひnoteなど参考にしてみてください。

これまで日銀は10年債利回りを0.5%以下になるようにコントロールしてきました。

具体的にどうコントロールするのかと言うと、0.5%を超えてきたら日銀が国債を買いまくるのです。

それが日銀の指値オペと言われるものです。

ちなみに国債を買いまくると金利は下がり、空売りしまくると金利は上がります。

 

ルル
ルル

国債価格と金利は逆相関だからね。

国債が上がると金利は下がる、国債が下がると金利は上がる。

これ暗記な。

これまで幾度となく空売りファンドが日銀に挑み続け、結局日銀が国債を買いまくって負け続けてきた、という歴史があります。

それを今回止めて、1.0%になるまで指値オペはしないという方針転換になりました。

ただし0.5%の金利は目途として残すという発表でした。

また、修正の理由としては物価の変動に対しての先回り的な対応だということでした。

現状の物価水準で1.0%になることは想定しないが、万が一の急激な物価変動に対応するためということでした。

 

日本もようやくインフレに向かっているわけですが、金利はインフレになれば上がっていくものです。

今回の修正は紛れもなく利上げと言っていいかと思いますが、物価が上がっていくのに対して利上げが起こるのは必然の流れと言えます。

ただし今回やる必要があったかどうかは難しいところですけど。

YCC修正で相場はなぜ乱高下した?

この発表を受けて日経平均もドル円も大きく上下しました。

そもそもYCC修正の話はけっこう前から、「今回は修正があるのでは」などと噂されていました。

ドル円市場なんかは2週間前あたりから円高に振れて、政策修正を織り込んだ状態での発表となりました。

そして、政策の中身が長期金利を0.5%を目途にしながら1.0%まで容認するという内容だったのでマーケットの反応はまちまちでした。

つまり「結局のところ金利はいくつになるんだ?」という不透明感がマーケットに広がっていたかと思います。

こちらは日経平均先物の15分足チャートですが、夜中のリークから日経平均は大きく動きました。

YCC修正発表後も500円上がり、800円下がり、引けにかけてまた800円上がりました。

 

ルル
ルル

夜間ではさらに上昇して、結局いってこいの動きとなったな。

とんでもない動きの1日となったけど、みんな大丈夫だったかな?

 

長期金利が現状の0.5%~上限の1.0%まで可能性があるという解釈が広がりました。

0.5% → 「大した修正じゃない、すでに織り込み済みだから上昇」

1.0% → 「0.5%の利上げは大きい。(普通は0.25%刻み)なのでさらに下落するのが妥当」

という2つの解釈の間で上下動したものと思われます。

なぜ日銀総裁会見後、株高円安に向かったのか?

いろんな思惑が交錯する中、15時半から植田総裁の会見が始まりました。

私も中継を見ていましたが、ポイントはやはり「金利は実際いくらになりそうなのか」という一点だと思っていました。

その中で、「基本的にはマーケットに委ねるが、投機的な動きに対しては対策をとっていく」

という発言がありました。

これは先ほど説明した空売りファンドに対しては好き勝手やらせない、というスタンスです。

あくまでも金利の変動はマーケットの自然な流れに委ねるということですね。

ということは、すぐに長期金利が1.0%になることなどまず無いと言っていいかと思います。

物価が安定的に上昇傾向に向かうのならば、長期金利も緩やかに1.0%に向かうのかもしれませんが、それもまだ不透明な状態だというのが日本の現状でしょう。

ということで、最悪のケースには到底ならなさそうということがわかり、株高円安の方向に向かったのかと思います。

特にドル円はかなりリスクを織り込んできた動きだったので、反動が大きかったように思えます。

とはいえ、利上げは利上げなので爆上げするようなポジティブな内容ではありません。

YCC修正と機関投資家の思惑

最後に今回の一連の値動きに対しての私見を少しだけ。

今回の修正に関しては、事前に大きく動きすぎです。

夜中に、しかも相場の天井でリークがあるなんてあからさますぎると思いませんか?

マーケットの急変動を避けてあえてリークしてる、という解説も見られますが、それにしてはリークされたところで急変動しすぎでしょう…w

「YCC変動幅を柔軟に修正」というリーク報道でしたから、おそらくその中身もすでに伝わっていたものと考えられます。

ということは、YCC修正発表後の上下動から、最後は大きく値を上げるところまで機関投資家のプラン通りだったのではないでしょうか?

結局振り回されて損を出したのは個人ばかり、ということになっていなければよいのですが…

ツイッターで少し書き込みましたが、0.5%が目途なのは変えないと最初から伝わっているのだから素直に受け取るのが正しかったのだと思います。

少し冷静に考える事ができれば、大きく下げたところが「チャンスかも?」と思えることができたのではないでしょうか?(もちろん拾うのは怖いとは思いますが)

少なくともショートでガンガン攻めようなどとは思えなかったはずだと思います。

10年債利回りは週末0.573%まで上昇して引けました。

すぐさま1.0%まで上がることはあり得ないことがわかったかと思いますが、今後しばらく注視していくことが必要かなと思います。

どの程度の水準で落ち着くのか、空売りファンドが仕掛けてきた時にちゃんと対応してくれるのかどうか、など見ていく必要があるかと思います。

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